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北海道大学大学院工学研究科 「都市地域デザイン学研究室」の学生によるブログです。
9/24は、ドイツのライネフェルデという町へ、視察に向かいました。
ライネフェルデは、旧東ドイツの町で、旧西ドイツとの境界付近に位置しています。
元々は小さな村だったのですが、1961年に突如6000人のヨーロッパ最大の紡績工場が設立されました。
さらに、「ライネフェルデ南地区」という、パネル工法の5~6階建てのアパートにより構成されるニュータウンが建設されました。
人口最大時には、16500人まで増加しましたが、紡績工場の閉鎖後、人口が激減し、
将来には、半数の住民がいなくなり、住宅の30〜40%が必要なくなると予測されていました。
そこで、住棟の減築や周辺環境の整備によって、居住環境を改善していきました。
研究室では、現在夕張市の都市集約化についての研究を行っています。
一つの企業による町の発展、そして急激な人口減少による居住環境の悪化は、
夕張ととても良く似ています。
ライネフェルデでは、昔から市役所に務められていたBrigitta Winklerさんにお話を伺いました。
まず、ライネフェルデでは、投資を集中させるため、2つのコアとなる軸を設定しました。
赤の軸に沿って住宅を維持・減築し、そこからはずれている住宅は除却されました。
そして、緑の軸には町から旧市街へ抜けるフットパスを整備しました。
6階建てのアパートを、1階に減築した住民センター。
その隣には、住棟を撤去されたスペースに、日本庭園が作られています。
これは、100m以上もあるアパートの、高さを減らし、
8つに分割するように減築し、その間をプライベートな庭にしています。
高さを減らした後、住居を減築して、テラスにしています。
高さを減らして、プライベートな庭を併設させています。
これまでに、1764室のアパートが除却されました。
そして、2600室が改善され、1630室のアパートにプライベートな庭がつけられました。
緑の軸は、フットパスとして整備されています。
フットパスに沿って、スポーツ施設なども整備され、町の憩いの場になっています。
ライネフェルデは、このように居住環境を改善させたことにより、人口減少がストップし、
現在では、新たな人口流入も見られるそうです。
都市の集約化というと、単純に機能や住宅を集めていくということが思い浮かびます。
しかし、本当に大事なのは、集約化することではなく、住民が住み続けていくことのできる環境をつくりだしていくことなのだと、改めて感じました。
ライネフェルデで学んだことを、今後も夕張市計画づくりに生かしていきたいと思います。
修士2年 長尾美幸
今年も、研究室一同研究やプロジェクト等、全力で取り組んでまいりますのでよろしくお願いいたします。
さて、新年最初の投稿は、9月の欧州研修の報告の続きです。
9/22には、チェコのプラハにやってきました。
プラハは、大戦中の戦火を免れたため、多様な時代、様式の建築が混在しています。
そこから、「建築の博物館」とも言われています。
到着すると、色々な建築から構成される街並がお出迎え。
市民会館や時計塔を過ぎて、
カレル橋を渡って、モルダウ川の対岸のプラハ城へ向かいます。
チェコは、今回行った都市の中で、一番観光客が多かったのですが、
このカレル橋は一番人が多く、何度も迷子になりました。
橋の上のこの像にさわると、幸せになれるらしいです。
松田くんに幸あれ!!!!
そしてどんどん登っていくと
絶景!!!!町を一望できます。
ロココ様式のプラハ城。
ゴシック様式の聖ヴィート教会。
ステンドグラスや細かい装飾に、ただただ圧倒されます。
今度は違う橋を渡って、再び対岸へ。
夕日に浮かぶカレル橋は、バロコ様式です。
先生に、色々と教えてもらいながら、次はユダヤ人地区の建築を見にいきました。
これまでの街並とは、全く違います。
夜になり、市庁舎へ戻り先生おすすめのレストランへ。
チェコと言えば、チェコビールで乾杯。
そして、この日は林原さんの24歳の誕生日でした!!!!
生演奏でHappy Birthdayを歌ってもらいました。
忘れられない誕生日になったのではないでしょうか。
プラハは、他の都市に比べて観光客が多いせいか、夜が長く、夜景もとてもきれいでした。
このティーン教会は、ルパン3世のカリオストロの城のモデルになっているそう。
プラハでは、様々な様式の建築を一度に沢山みることが出来て、とても勉強になりました。
教科書で習ってきたような、様式によって全く違う、構造、装飾など、
それを一気に間近で見ることができて、貴重な学びの時間になりました。
次は最後の国、ドイツ編へ続きます。。。
修士2年 長尾美幸
卒論が無事終わりましたが、M2は修論、M1は就職活動、UG4は卒業設計とまだまだ慌ただしい研究室です。
外は大雪でかなり雪が積もってきています。
大変遅くなりましたが、修士2年が10月中下旬、欧州研修でスイス、オーストリア、チェコ、ドイツを視察してきましたので、ご報告させていただきます。
この研修の主な目的は、研究室の研究である"地域の自立"、"コンパクトシティ"の先進事例であるギッシング、ライネフェルデを訪れヒア
リング、現場視察を通してその知見を得るというものです。
また多くの建築、都市に触れ、時代時代の潮流を身を以て理解することも研修の大きな目的です。
前置きが長くなりましたが、旅の順序に沿って写真と共にご紹介していきます。
まずはスイスから。
チューリッヒ国際空港には夜に着き、次の日の朝にチューリッヒ市内を5講座ドクターの大脇さんに案内していただきました。
最初に案内していただいたのが、チューリッヒ市の巨大な都市模型です。
1/1000で現された模型は、一目で都市の動きを把握できる工夫がなされています。
木の模型の中に見られる幾つかの石膏の模型は、現在進行中のプロジェクトのものだそうです。また、この都市模型は細かく分割することができ、プロジェクトの協議などでは建築模型と共にこの都市模型も用いながら議論を重ねていくそうです。
このポールの先端に赤い標がありますが、これは建設予定の建物の高さを現すものです。近隣住民と共有するツールになるとともに、住民の多くが建物の高さに異議を申し立てれば計画にフィードバックされる仕組みが確立されているそうです。
チューリッヒ市内の建築も教会から現代建築まで多く見学することができました。
晩はお世話になった大脇さんと美味しい馬肉のステーキを頂きました。
大脇さんありがとう御座いました。
2日目からは首都ベルンに移動しました。
ベルンはオリーブ色の建物で統一されていますこれは近くで採れる石で造られているそうです。
町中を歩いると、通り沿いに見えるポルティコは多くの歩行者が利用しており、独特の賑わいをつくり出していることがわかります。
ベルンには多くの広場があり巨大チェスをしている人がいたり、ゲリラ的にイベントを行ったり、憩いのスペースとして利用されていたり多様な使われ方をしています。
4日目はローザンヌへ移動し、SANAA、小さな家を目指します。
残念ながら小さな家は閉まっており、塀の隙間から覗き込み、雰囲気を掴むことしかできませんでした。
5日目からはスイス最後の都市アンデルマットを目指します。
アンデルマットは皆さんがイメージされるザ・スイスですね。泊まったホテルにもヨーゼフのような大きなセントバーナードを飼っていました。
さて、アンデルマットを目指した理由は、ズントーの建築をみるためです。
辺鄙な所に立っていますので、1日1つペースで建築を見るという贅沢な時間の使い方をしてしまいました。
働いてからでは絶対にできない時間の使い方ですね。
無人駅から更に1時間ほど登ったところにありました。
光の使い方、素材の使い方、プロポーション全てが洗練され感動する空間ができることを強く実感しました。
こちらも美しい。光の強さ、指向性の強弱で空間が幻想的に感じられます。
ただ、入浴料5000円弱は日本人には理解できない高さでした。
かなり大まかにスイスの旅を振り返りましたが、多くの建築、都市を見ることができ、本当に良い経験ができました。
長々と失礼致しました。
M2佐藤
今年の暑かった夏は鮮やかな紅葉色で北大を染め、散歩や銀杏の実を拾う姿もちらほら見えてくる時期になってまいりました。
そんな外の世界とは裏腹に研究室では、卒論提出まで1ヶ月を切った4年生が大詰めに入っています。
というわけで今回は卒論(修論)合宿についてご報告致します。
今年の卒論合宿はニセコでした。
羊蹄山にはあいにく傘雲が掛かってしまいましたが、山頂付近にはちらっと雪も覗かせていました。
宿泊場所は道工大のニセコ山荘を利用させて頂きました。
さて本題の卒論ゼミですが、4年生はようやくそれぞれの調査や実験を終え捻出した結論を先生にアタックしました。
合宿までの数週間は、4年生はもちろんマスターも何が言えそうかあーだこーだとかなり慌ただしい日々が続きました。
去年経験した立場から言うと、卒論合宿時期は苦しみに苦しんで先輩方には大変お世話になりました。(年中お世話になっておりますが)と、振り返ると改めて言いたくなります。
先生・先輩からアドバイスを受けて提出までの残りの1ヶ月、4年生にはさらに加速して頑張ってほしいです。
マスターは生暖かく見守っております。
ゼミのあとは、調査でお伺いしたニセコ町の方を交えて鍋をしました。
日本酒やトマトジュースなどの差し入れをいただきました。
美味しかったです。ごちそうさまでした。
気持ちのいい朝日に照らされ、二日目は朝から修論、D論、卒計のゼミを行いました。
ドクターの李さんの研究分野はあまり詳しく知る機会が今までなかったので皆興味深く聞いていました。
が、英語での発表だったので苦戦を強いられました(笑)。
最後はお決まりの集合写真です。
おまけ
帰りは白井晟一の尻別山寮を見学させて頂きました。
物語に出てくるような空間で引き込まれていきました。ディテールまで美しく気持ちよかったです。
修士1年 高梨 潤
肌寒くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
北大の銀杏並木は奇麗に色づき、構内は観光客で賑わっています。そして、四年生も卒論のピークで賑わっています?
ブログの更新が遅れてしまいましたが、先日行われた瀬戸口先生の50歳誕生日祝いとM2によるヨーロッパ研修成果発表について報告させて頂きます。
九月中に、瀬戸口先生とM2の方々は、今年研究室で扱っている研究である「地域の自立」と「集約都市」の先進事例を視察するため、ヨーロッパ各地を回ってきました。具体地域は「地域の自立」の先進事例としてオーストリアのギュッシング、「集約都市」の先進事例としてドイツのライネフェルです。現地で働く方々へのヒアリング調査も行ったそうです。
こうした一連の研修と成果について、研究室内で報告会を催しました。最初に、松田さんと佐藤さんに、周遊した都市と建築の説明をして頂きました。SANNAの設計による、スイス連邦工科大学ローザンヌ校は、壁を使わず、建築の起伏により空間が分節され、非常に心地の良い建築だったそうです。コンセプトを空間へ実現する、身体感覚に関心いたしました。いつか、自分の足で訪ねてみようと思います。
続いて、林原さんに、視察したギュッシングについて説明して頂きました。エネルギー、特に熱の循環の先進事例として挙げられています。この地区では、エネルギーの変換に従事する事柄も、お金と同じように価値が置かれているそうです。世界では循環せず、ここだけで循環する経済というのは、とても新鮮な概念として感銘を受けました。最後に、長尾さんに、視察したライデフェルデについて説明して頂きました。超人口減少に対応する、減築の先進事例として挙げられています。建築をスクラップ&ビルドするのでなく、減築という新たな手法を用いて、建築をリニューアルしているそうです。見せて頂いた写真からは、古さも感じさせず、とてもお洒落な建築の仕上がりが伺えました。「もったいない」という思想が浸透する日本では、適切な手法であるのではないかと個人的に思っています。そしてデザインの大切さも改めて学びました。
この日は、瀬戸口先生の記念すべき50回目の誕生日でした。改めて瀬戸口先生おめでとうございます。
M1でサプライズを用意させて頂きましたが、研究室一同で日頃の感謝の気持ちを伝えられたことが一番嬉しかったです。
記念にとても良い集合写真が撮れました。
この写真は、当たり前すぎる日常の連続が、とても恵まれた環境にいることを忘れさせていると気づかしてくれる一枚でした。